ありふれた 一般金属の“属性”を「味わい」に換えた、メタル・プロダクト
「貴」と「卑」の差は、ただの“印象”だけかもしれれない。
「卑金属」という言葉をご存知だろうか。「貴金属」に対し「卑」と形容されてはいるが、空気中で熱すると簡単に酸化する金属類を指す。翻って「真鍮」である。真鍮は、「卑金属」に属し、銅と亜鉛の合金で、亜鉛が20%以上のものをいう。照明や家具、ドアなどのインテリアの“部材”としてなじみのあるこの素材を、新しい解釈で私たちのライフスタイルに落とし込んだブランドがある。
「DIARGE」は、大量にそして広く利用されてきたベースメタル(一般金属)の「真鍮」に新しい付加価値を提案するブランドだ。耐久性や耐候性など、これまで過酷な環境においてスペックのみを求められてきた一般金属たち(ステンレススチールなど)を用い、ありそうでなかったデザインの“エッジ”を付加することで、光をあてた。
失われる輝きを魅力に変えていく、普段使いのプロダクト。
よくあるメタル・プロダクトにありがちな“クラフトやガジェット”を感じさせない佇まい。「DIARGE」のプロダクトは、熟練工による精度の高い加工により、“一般金属らしさ”と洗練されたミニマルデザインを融合させた。
真新しい真鍮の輝きは、金(ゴールド)と比べ、控えめな光を放ち、生活の中でもなじみやすい。私たちは、すでに使い込まれた“アンティーク風”を連想しがちだが、まっさらな真鍮の光は上品な佇まいすら感じさせるのだ。
にもかかわらず、無垢の輝きを失いながら経年変化していくのが「真鍮」の魅力。この奥行きを、デザインと高度な技術を用い、プロダクトそのものに表現“させている”。さらには「打ち出し」という鍛金の伝統技法が、靴べらとして必要な強度を実現しながら“デザイン然”としてプロダクトの中で融合し、昇華。同ブランドを代表するアイテムとして人気を博している。
いまあらためて、「真鍮」という素材と“つきあう”。
一方で「DIARGE」は、金属素地のインダストリアルな質感を強調したデザインや、サンドブラスト加工によるマットな表情をメインにしたプロダクトなど、「真鍮」のマテリアルとしてのポテンシャルを、振れ幅広く引き出している。
それぞれのプロダクトが、しかるべき場に置かれたとき、「主張しすぎず、それでいて存在感のある」モノとして佇む。それは、素材の加工性の高さ、卓越した技術に裏打ちされたバリエーション豊かな加工、シンプルを極めたデザインにより成立している。
さらには手にした際に感じられる重み、金属特有の冷たさや質感、使う人に倣うように変わっていく風合い。インテリアのように「そこにある」のではなく、使う人に無意識に伝わっていく感覚をも内包したプロダクトたち。
まさにライフスタイルブランドとしてデザインにより「真鍮」の在り方を変え、私たちにベースメタルの新たな側面を教えてくれる。