定期的におこなわれる「先生の学校」のイベントでは、運営のほか自らスピーカーにもなる
副業ではなく自分らしい生き方を
実践するための“複業”
三原さんが考える複業とは、副業があくまでも本業に対するサブであり、収入を得ることを目的にしているのに対し、本業との主従関係がなく、価値創造活動であり他者貢献、自分らしい生き方の実現を目的としているもの。
「収入を得ることが主目的ではないと言っても、複業の対価として収入があることは、大切な評価軸であり、モチベーションアップにもつながります。私の場合、複業で得られたお金は複業の次のステップへの資金として活用しています」。そして今、「先生の学校」のwebメディアを2019年1月に立ち上げるべく、準備を進めているそうです。
EDiTを使って、週に1度の“自分会議”
会社のスケジュールはクラウドのカレンダーでおこなっているため、手帳には基本的に複業やプライベートの予定を書いているほか、セミナーやイベントで学んだこと、アイデアなどを書き込むメモとして活用している三原さん。また月間プランニングページを使い、次はこんな1ヶ月にしたいと考えを整理したり、振り返りをしたりもしています。
「“振り返り=リフレクション”の重要性を感じているので、毎週日曜日の夜に“自分会議”の時間を取って、1ヶ月の振り返りは手帳で、毎週の振り返りはアイデア用ノートでするようにしているんです。“まずやってみること”を大事にしているので、やってみてどうだったか? なぜうまくいったのか、いかなかったのか? を徹底的に振り返ります」
そんな三原さんにとってEDiTは、よきパートナーであり、ブレスト相手だそう。「手で書いた方が、思考が整理されるという感覚もあります。また、指先には神経が集中されているため、書いたことは潜在意識に定着しやすいという話を聞いてから、手書き一筋です(笑)」
有限な時間の使い方は常にアップデート
複業を始めたときに、時間の使い方について見直しをしたという三原さんは、通勤時間も朝は当日のタスクの洗い出しや優先順位付け、複業関連のメールのやりとりやSNS発信などに使っています。帰りは読書タイムに割り当て、インプットの時間もしっかりとキープ。
そのほか、「1番大切なことから始める。そしてどんなときも家族ファースト」をモットーに、①ワクワクするか・居心地がいいことかを自分に問う、②やらないことをはっきりさせる、③デジタルなどテクノロジーの力を借りる、④10秒でジャッジすることを習慣化する、といったルールを決め、定期的な見直し・工夫を重ねて、時間の使い方を常にアップデートしています。
「時間は有限。1日1日を大切にしたいので、1日1ページ手帳という足跡の残し方が気に入っていて、今の私のスタイルにぴったりの手帳だと感じています。また母が5年日記を付けていたので、“去年の今日は何をしていた”と話してくれていたのが懐かしくて。そんなところにも影響を受けているのかもしれません」
デイリーページ : 複業の予定や気づき・アイデアをメモ
① 週末に自分と向き合う時間をつくり、1週間で感じたことや複業に関することをメモ。空いた平日スペースも有効活用して書き込みを延長
② 月〜金の平日、本業の予定はデジタル管理で社内シェア。1日1ページ手帳には、週末の予定を記入
③ 教育先進国と言われるフィンランドの学校や図書館など、教育機関を見学するツアーを主催した際の現地での気づきを振り返り
④ 模写が得意という三原さん。フィンランドと言えば……思わず書かずにいられなかったイラストを描いても邪魔をしないドット罫
マンスリーページ : 今月のテーマからやるべきことをリストアップ
① その月のテーマとなるトピックスを記入。ステッカーを貼って気分を盛り上げている
② テーマのトピックスからブレイクダウンした「やるべきこと」をリストアップし、終わったらチェックを入れて確認
③ 「今月の支出」欄には、家電やプレゼントなどを列挙。大きな出費日予定は、月初に予定を書き込み、支出への影響を確認
④ 必ずバッグに1冊は忍ばせ、帰宅の移動時間と就寝前を日々の読書タイムにしている。「記録しておきたいこと」のスペースには、読書や映画などの記録を書き留めて。
“選択肢にあふれたミライをつくる”を軸に。
実感する本業と複業の相乗効果
「複業について同僚たちは、私らしい活動だねと言ってくれています。さらにイベントに足を運んでくれる人もいて、応援されていると感じていますね。『先生の学校』は、私なりの世の中への恩返し。参加してくださった方が笑顔で帰って行くのを見るのがうれしい。一方でPRの仕事のおもしろさは、好きなものをみんなに知らせることができる点。“選択肢にあふれたミライをつくること”を自分のミッションにしているので、何をやるにしてもその軸で活動しています。代わりのきかない人材=オンリーワンになって、未来の選択肢を増やしていきたいんです」
実際に、本業でできないことを複業で挑戦できる、人脈がクロスする、会う人の絶対量が増えて可能性が広がるなど、それぞれの仕事がお互いによい影響をもたらしていると感じることも多いと言います。三原さんにとってのパラレル(平行)キャリアは、本業・複業それぞれが相乗効果を発揮できるスパイラルキャリアへと進化しているようです。
本業の同僚・高橋浩子さんとは、ざっくばらんに複業の相談もできる仲
やりたいことを実現するには
自分で選択することが大事
取材時は妊娠中だった三原さん。2018年9月、待望の第1子の出産とともに、1冊目の著書『自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方』(秀和システム・刊)を世に送り出しました。この本では、三原さん自らが22名のパラレルワーカーへの取材を敢行。パラレルワークを実践している自身のこれまで経験や体験とともに、パラレルキャリアを築くための考え方と実践的なノウハウを紹介し、「パラレルキャリア? 複業ってどうやったらはじめられるの?」そう思っていた人にも、具体的にイメージができる内容となっています。自分らしく働きたい、この時代のキャリアのあり方に自分のキャリアや人生もスイッチさせてみたい、そう思う人の背中を押してくれる1冊です。
三原さん自身が「どうやって複業をはじめたか」というステップも惜しむことなく伝えている『自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方』三原菜央・著(秀和システム・刊)
会社に勤めながら、ほかの仕事をしたり、社会貢献活動に参加したりすることで、自分の可能性を広げて未来の選択肢が増えたり、人脈が広がったり、人生を豊かにするパラレルワーク。
「時間をやりくりしながら、やりたいことにすべて挑戦する。そのためには自分で選択することが大切です。“自分で決める”ということには、常に自由と責任が伴います。そして複業は、自分らしく生きるための一つの選択肢でしかないとも思っています」。
そう語る、明るく穏やかな三原さんには、いつも前向きのパワーが秘められています。
使い続けて数冊目になるアイデア用ノート、通勤時の読書、著者本執筆時の相棒にもなったでデジラルカメラ。どれも欠かせず、三原さんのバッグはいつも重い
Profile
- 三原菜央 Nao Mihara
PR / 「先生の学校」の主宰
1984年岐阜県生まれ。大学卒業後、専門学校・大学の教員として8年間勤務した後、不動産の広報PRを経て、webのプロモーション会社に転職。営業、オウンドメディアの編集長を経て、兼業可能な大手事業会社の社外広報に。2016年9月より複業を開始し、5枚の名刺を持つパラレルワーカーとして活動中。主な複業は学校の先生に社会とつながる機会を提供する教育団体『先生の学校』の主宰。北欧フィンランドの教育視察ツアーの企画・運営、広報PRプランナー、SNS講座・プレゼンテーション講座の講師など幅広い活動をしている。
Mihalab(ミハラボ)」ブログ【選択肢に溢れたミライを創る、試行錯誤の記録】: miha-lab.com
先生の学校 : sensei-no-gakkou