その手には「ひっかからない」。
ハニカムメッシュのミニショルダーバッグ。
今回、オンライン・マークスに登場する「Honeycomb mini」は、「acrylic(アクリリック)」ディレクター・坂雅子氏を魅了してやまない、代表的なモチーフ「ハニカム」の新素材を使ったミニショルダーバッグだ。
強く、軽く。構造材として、宇宙船から戦闘機まで、まさに宇宙空間を漂い、陸海空で「戦ってきた」アルミニウムのハニカム構造をイヤリング(リンク)に“転生”させた坂氏が、主力のバッグ用素材として「発見」した「ハニカムメッシュ」。いったいどんな素材だろうか。
透けていながら緻密な構造が、身を守る。
「Honeycomb mini」は、福井県のスポーツ用繊維を製造する企業が開発した、ポリエステル製のハニカムメッシュ生地を基調にデザインしたバッグ。高い機能性を求められるスポーツやアウトドア用品の技術を駆使し、特殊加工により生産された糸を高密度に編み上げて、メッシュでありながらも「ひっかからない」のが特長だ。
強く、軽く。「acrylic(アクリリック)」の産業資材は、ハードユースを前提とする大人の女性の要求を軽々と超える、選ばれし“精鋭”たちだ。「網目」の軽さと意匠性に、耐用性を備えたハニカムメッシュ。ハニカム模様の中には、透明の繊維の細かな編み目が立体的に、かつ整然と並び、編み生地ならではの柔軟性を利かせながら、一目一目が固く結びつき「ひっかかり」を防いでいる。中身が充実してこそ、しなやかな強さを発揮するのだ。
空気を読むのは、「子どものすること」である。
坂氏が生地を手に取り、ホチキスで留めてボリュームを確認しながら、全体のシルエットを決めていく。素材の持ち味を最大限に引き出す「acrylic(アクリリック)」のミニマルデザインは、極めてアナログな作業から生まれている。ハニカムの意匠性にも合う「扇形」を決めたら、そのフォルム維持するためにセンターにタックを入れ、マグネットを設置した。スマホ、財布、ポーチ、小さな折り畳み傘、必要最低限の荷物を入れてもなおシルエットを維持させるため、インナーには張りのあるオーガンジーを採用。内と外、それぞれのサイズを僅かにずらし、ハニカムメッシュの向こう側にオーガンジーの「色」を浮かべて、これまでの「acrylic(アクリリック)」にはない、ぼんやりとした世界を表現した。
スタイリングを格上げする「差し色」は、その意図が透けて見えなければ見えないほど、効果を上げる。「Honeycomb mini」の、色の残像ともいえるぼんやりした存在は、ただ手に取るだけで、その「存在感」が立ち上がる。
メッシュなのに「ひっかからない」。坂氏が提案する産業資材たちは、本来他の用途に叶うためにその単機能を、潔く・鋭く突き詰めたシンプルなものばかりだ。私たちの毎日は、些末な雑事にいちいち「ひっかかる」ほど、暇ではない。ドレスアップ用のミニバッグでもエコバッグでもない「Honeycomb mini」。強く、軽く。「ご近所コーデを格上げ」などという手に「ひっかからない」女性たちと共に、オン・オフを、季節を、シームレスに行き来する。