もっと詳しく知りたい万年筆の世界〜インクの入れ方編〜 もっと詳しく知りたい万年筆の世界〜インクの入れ方編〜

もっと詳しく知りたい万年筆の世界
〜インクの入れ方編〜

使いこなすのが難しそうなイメージがある万年筆を分かりやすくご紹介する「万年筆のきほん」。今回は万年筆の応用編です! 万年筆のパーツや字幅の種類や選び方、そして好きなインクを使いたいときに必要な「コンバーター」の使い方などを分かりやすく紹介します。一緒に自分の好きなインクを使ってみましょう。

万年筆の仕組みが知りたい!

万年筆の仕組みが知りたい!

万年筆は大きく分けると「キャップ」、「ペン先」、「軸」の3つのパーツに分かれています。「キャップ」はペン先をカバーし、インクの乾燥や、傷・汚れを防いでくれます。「ペン先」は、万年筆の命! 字幅や柔らかさ、形状など種類は数多くあるので、自分の目的にあったペン先を選ぶのがポイントです。「軸」はカートリッジやコンバーターが収まる部分。素材は樹脂やプラスチックなどが多いです。

ペン先の素材の違いは?

ペン先の素材の違いは?

万年筆と聞くと高いというイメージがありませんか? 万年筆の値段はペン先や軸の素材、装飾などによって変わります。例えばペン先の素材は、 主にスチールやステンレスなどの「特殊合金」で作られたペン先と、金を含む「金合金」で作られたペン先の2種類。一般的にステンレスは、価格が安く硬めの書き心地。対して金のペン先は、高価でしなやかで柔軟性がある書き心地が特徴です。

ペン先の字幅の種類はどんなものがあるの?

ペン先の字幅の種類はどんなものがあるの?

万年筆の選ぶポイントの一つが「字幅」です。パイロットの「カスタム 74」は、全11種類のペン先が揃っています。中でも使いやすいのが写真の4種類。極細字「EF(エクストラファイン)」、細字「F(ファイン)」、中字「M(ミディアム)」、太字「B(ブロード)」です。

手帳や方眼ノートなどに細かく文字を書く場合は極細字や細字がぴったり。手紙や宛名などしっかりした文字を書きたい場合は、中字や太字など太めのペン先が書きやすいです。目的に合わせて字幅を選ぶのが◎

インクの入れ方は大きく2種類

インクの入れ方は大きく2種類

万年筆には「カートリッジ式」、「コンバーター式」、「吸入式」の3つのインクの入れ方があります。その中でも主流なのは「カートリッジ式」と「コンバーター式」です。

・カートリッジ式
プラスチックの筒状の容器に入った使い切りのインクです。差し込むだけですぐに使えるので初心者さんにおすすめです。

・コンバーター式
ボトルのインクを使うときに使用します。好きなインクを使いたい場合は、使う万年筆に合せた「コンバーター」が必要です。一般的には、カートリッジとコンバーター両方使える「両用式」と呼ばれるタイプが多いです。

ちなみに「吸入式」は、ボトルに入ったインクを万年筆の内部に直接入れることができるので、上級者さんにおすすめ。

※カートリッジの使い方は「初めてでもすぐに使える!カクノで万年筆デビューしてみよう」の記事を参考につかってみてください。

たくさんの色を楽しむならコンバータータイプがおすすめ!

たくさんの色を楽しむならコンバータータイプがおすすめ!

ここまでインクの入れ方の種類をご紹介しましたが、最近人気の素敵なボトル入りのインクを使いたいとき、初心者なら「コンバーター式」がおすすめ。聞き馴染みがないので「使うのが難しそうだな……」と思うかもしれませんが、使い方とメンテナンスは簡単なので、説明にそって使ってみましょう!

コンバーターの使い方

コンバーターは、使用する万年筆と同じメーカーのものを使います。 今回はパイロットの「カスタム 74」に、同メーカーのコンバーターの「CON-40」を使ってインクを入れていきます。

  • コンバーターの使い方 1

    STEP.1
    軸をはず外してペン先にコンバーターをグッと差し込みます。

  • コンバーターの使い方 2

    STEP.2
    コンバーターのつまみを反時計回りにクルクル回し、ピストンを下げます。

  • コンバーターの使い方 3

    STEP.3
    ペン先の首の部分までをインクに浸したら、時計回りにクルクルと回してインクを吸い上げます。うまくいかないときは、2~3回吸入を繰り返してみてください。

STEP.1
軸をはず外してペン先にコンバーターをグッと差し込みます。

STEP.2
コンバーターのつまみを反時計回りにクルクル回し、ピストンを下げます。

STEP.3
ペン先の首の部分までをインクに浸したら、時計回りにクルクルと回してインクを吸い上げます。うまくいかないときは、2~3回吸入を繰り返してみてください。

ペン先をボトルから出し、キッチンペーパーでペン先を拭き、軸にセットしたら完成です。

コンバーターにはプッシュ式も!

コンバーターには「プッシュ式」と呼ばれるタイプもあるので、パイロットのプッシュ式コンバーター「CON-70N」の使い方も合わせてご紹介します。

  • コンバーター プッシュ式の使い方1

    STEP.1
    先ほどと同じく、軸をはずしてペン先にコンバーターをグッと差し込みます。

  • コンバーター プッシュ式の使い方2

    STEP.2
    ペン先の首の部分までインクに浸したら、コンバーターのお尻の黒い部分を5,6回押すだけでOK。インクが吸入されます。

STEP.1
先ほどと同じく、軸をはずしてペン先にコンバーターをグッと差し込みます。

STEP.2
ペン先の首の部分までインクに浸したら、コンバーターのお尻の黒い部分を5,6回押すだけでOK。インクが吸入されます。

ペン先をボトルから出し、キッチンペーパーでペン先を拭き、軸にセットしたら完成です。押すだけでインクがどんどん入っていき、容量も多いので、たくさん書きたい方はプッシュ式が使える万年筆を選んでみてください。

意外と簡単なお手入れ方法

意外と簡単なお手入れ方法

万年筆のお手入れ方法は「水洗い」が基本です。万年筆のペン先とコンバーターを水につけ、全体を水に浸したまま一晩置きます。最後に、水道水で洗い流しましょう。

洗ったあとはペーパータオルなどを使って、ペン先とコンバーターについている水気を優しく拭きます

洗ったあとはペーパータオルなどを使って、ペン先とコンバーターについている水気を優しく拭きます。拭いたときにインクが出なければOK。コンバーターの中に水が残った状態でインクを入れると、吸入したインクが薄くなってしまうこともあるので、しっかりと水気を切るのがポイントです。

カートリッジ式の場合も、カートリッジインクを取り外し、ペン先を首ごと一晩水につけてから 水気を取ればOK。詳しくは「初めてでもすぐに使える!カクノで万年筆デビューしてみよう」の記事を参考にしてみてください。

使えばハマる!万年筆の世界

使えばハマる!万年筆の世界

好きなインクを使って万年筆を書きたいとき、多くの方がつまずいてしまうのが「コンバーター」の使い方です。インク沼ブームで、好きなインクと万年筆を買ってみたものの実際には使えなかった、ということはありませんか? そんなときはコンバーターが必要なので、使い方を参考にしてみてください。

万年筆の醍醐味は、「このインクを使いたい!」とビビッと来たインクを使うこと。ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。